2013年7月27日土曜日

第二回 新川裕樹さんに取材 vol.1

2013/05/22 @鹿児島県庁

 第二回目のインタビュー相手は、鹿児島県庁職員の新川裕樹さんです。新川さんは、幼稚園の頃から農業関係の仕事に就きたいと思っており、鹿児島県庁に技術職公務員として入庁しました。農協の設立や、経営管理指導のための本を執筆なさるなど、大きな成果を残していらっしゃいます。
 新川さんは、公務員の仕事について一体何を語って下さるのでしょうか。


1.公務員の仕事をしていて熱く語れるお話はなんですか?

 常に熱く、仕事に取り組んできましたが、特に事例を挙げるならば、本の執筆や農協設立があります。
 入庁して最初に、鹿児島県根占農業改良普及所に農業改良指導員として配属されました。そこで農業負債整理資金と出会います。この資金は経営が悪化してしまった農家が借りるものですが、借入を行う農家の経営はとても苦しいものでした。そこで、経営悪化の原因は何なのかを考えました。気づいたのは、経営が悪化した農家に共通していたのが、経営管理が不十分だということでした。本来ならば【いい生産者であると同時に、いい経営者にならなければならない】のですが、その片方が欠落しているのです。ここで、経営指導の重要性に気付きました。
 本来は、農業改良指導員は技術指導を中心に行うのですが,農家の方には「技術指導はいらない」と言われました。農業の現場では、大学で学んだようなアカデミックなことは通用しません。現場には現場レベルのものがあって、それはまだ生産者にはかないません。けれど、駆け出しの僕は何か役に立ちたかったので、生産者は経営管理が苦手な方が多いことに気づいて、農家の経営指導に没頭しました。指導上の必要性を考えて、簿記の資格も取りました。これがきっかけで、現在は税理士試験の勉強をしています。この頃は、パソコン簿記の走りの時期だったので、パソコン簿記を利用して観覧に経営管理が出来るよう経営管理指導の本を執筆しました。この本は、はじめは事務所だけで使っていたのですが、友人や多くの協力があり、最終的には県全体の経営指導の本として配布されることになりました。僕がまだ駆け出し、入庁2年目のことでした。
その後、異動となり補助事業など行政の執行を行う大隅農林事務所を経て、3ヶ所目に沖永良部事務所農業普及課に配属されました。
 沖永良部では、根占でやってきた簿記による経営管理で経営の問題を数値化するだけでなく、現場の農業生産に結びつけることが大事と考え,簿記による経営管理と技術支援を組み合わせた指導体系を確立させました。ここで2冊目の簿記の指導本を執筆しました。現在、県全体で使用されているものはこの本になります。
 また,この頃沖永良部の花産業がさらに発展するよう、生産者に呼びかけて花専門の農協を作りました。農協を作った県職員はあまり事例が無く県内では僕が初めてではないでしょうか。

 このように,本を執筆したり、農協を作ったりということは、県職員として定められた仕事ではなく、プラスαにあたるものです。公務員は定められた業務を問題無く執行すればよく、やらなくても給料も同じです。
 だけど、農協を作っておけば、補助事業も受けられるし(実際に現在受けている)、生産者の経営安定にもつながります。また,経営指導にしても,本も書く必要もなければ、指導体型を作ることもないけど、本を作るということは、今まで指導者によってばらばらだった指導方法が県内一つにまとまるということです。指導方法が同じなら生産者も楽だろうし、次の職員にも自分のやり方や思いを引き継ぐ事ができます。

 
 この熱さを支えてきた2つの言葉があります。ビジネスでは基本の言葉ですが、「you attitude」と「run another mile」です。この2つの言葉は、僕が駆けだしの頃に出会いました。「you attitude」は【相手の身になって考える態度】のことです。「run another mile」は【与えられただけでなく、更に先に進む態度】のことです。
 なにかを新たに行うことは、面倒で大変です。本を作ることも時間を拘束されるし、人のやった事も参考にできないので一人でやらないといけません。けれど、自分が正しいと信じることをとにかくやることが大切です。ただ、僕は時々間違った方向へ行きがちなので、時々客観的なアドバイスをいただきながらですが。最終的に成果に結びつけるためには、理解者を得る事と、周りからのサポートをいただく事も必要だと思います。

>vol.2に続く

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