2013年7月28日日曜日

第三回 岩切剛志さんに取材 vol.1

2013/05/28 @鹿児島県庁

  第三回目のインタビュー相手は、鹿児島県庁職員の岩切剛志さんです。
岩切さんは、大学院で研修を受けたり、奄美大島でお仕事をなさったりと、多種多様な職場で働いた経験をお持ちです。現在は、鹿児島県人事委員会事務局長として働いているだけではなく、職員による自主研究会『かごしまプランナー』を運営するなど、積極的に活動なさっています。
 岩切さんは、公務員の仕事について一体何を語って下さるのでしょうか。
      



1.公務員の仕事をしていて楽しかったことはなんですか?

 国内留学と奄美大島で働いたことです。
 まず、国内留学とは。県庁には、色々な研修制度があります。例えば、国の色々な省庁との人事交流があります。海外勤務もあります。自治大学校などの長期研修もあります。また、各県との交流もあり、九州だと、熊本県、宮崎県との交流がありますし、薩摩義士による宝暦治水が縁で、岐阜県との交流もあります。その他、日常的な職員研修も豊富です。
 その中で国内留学というものがありました。私は、埼玉大学大学院政策科学研究科、現在の政策研究大学院大学に行きました。政策学研究科では、行政の仕事を従来の経験を勘ではなく、科学的に分析し複数の選択肢を示す手法を学びました。私の時は、国から10人、地方から10人、アジアからの留学生20人、くらいが一学年でした。二年間研修を行い、修論を書いて卒業という形式でした。
 そこで、科学的な手法を一年間学びましたが、帰ってきた職場は、現在の市町村課。政策を科学する余裕がなく、交付税を算定するために市町村からデータを集めて、それを様式に入れ込んで、間違いがないかチェックをして、総務省に送る。データを集めて、毎年毎年の地方交付税を決めていく。そんな仕事内容でしたので、帰ってきた職場は埼玉の研修で学んだことをすぐに活かせるような職場とは言えませんでした。
 だけど、やっぱり後に繋がりましたね。研修で学んだ視点や視野は共生協働や鹿児島プランナーで物事を考える時に繋がりました。また、経験や勘だけではなく、データを分析して考えるということが身につきました。さらに、研修先で友達が出来ました。今でもメールのやり取りをしたり、同窓会を行ったりしています。国から来ているキャリアの方や、地方から来ている方も優秀な方だったので、とても勉強になりました。今でもお付き合いがあるので、この面はプラスだと思います。
 次に、奄美大島で働いたことをお話します。「鹿児島県庁に入って、本当によかったなぁ」と思う瞬間でしたね。奄美大島の名瀬市、現在の奄美市の大島支庁で働きました。県内の赴任や出張で、飛行機代を使うんですから、他県ではこんなところないですね。
 奄美大島は、歴史や、文化、自然、食、祭りなど‥。鹿児島本土とは随分違います。また、いわゆる陰暦(旧暦)に基づく行事が現在も脈々と受け継がれており、それが生活に入り込んでいます。そういったものは、鹿児島では廃れてきているものです。人口は全体で10数万人ですが、本当にすごいところです。色んな出身の作家さんや研究者など優秀な方も多く、奄美にまつわる書物もたくさん出版されています。南海日日新聞など新聞社もあります。そのような地域は全国見ても中々ありませんね。
 奄美大島は、本当に海が綺麗です。さらに、奄美の森がすごい。圧倒的な存在感なんですよね。4月は新緑が鮮やかで、パワーが圧倒的。山が深く、緑が集落に迫っています。また、海も面白い。リーフって知っていますか?リーフとは、サンゴ礁のことです。サンゴ礁が発達していて、干潮になるとずっとリーフが見えています。海岸線から100m、200m、ずっと天然の防波堤みたいな感じ。地元の人は、リーフで魚や海藻など海の恵みを頂く。得がたい体験をしたと思います。


2.公務員の仕事をしていて、よかったなと思うことはなんですか?
 
 仕事が目に見えた時かな。例えば、企画部の交通政策課時代。
 地域交通係長という仕事をしていました。入庁してから、2箇所目の係長時代です。鹿児島県は離島が多いので、結構、補助航路が多いんですよ。例えば、甑島や喜界島、さらに離島の中の離島の奄美大島の加計呂麻島などいくつか補助航路があります。この中に個人航路もちょっとあります。その中で、古仁屋から請島、与路島に定期船が通っています。その船は、10~20数年前のものだったので、速度も遅くなっているんですよ。請島、与路島は畜産をやっているので、牛豚を運搬するのだけど、前の船はその牛豚の部屋
が船の前の方にありました。前だと、後ろにある客室に臭いが届くんですよね。これが問題点でした。また、船も小さいので、海峡の外に出ると、うねりがある時はすごく揺れます。さらに、車を積むときに、クレーンで積むしかなくて大変でした。このように多くの課題がありました。そこで、地元の担当者と色んな議論をしながら、意見も要望も聞いて、いい船を作りました!家畜を後ろにして、車は自走式で乗れるようにして、スピードも上げて。
 私がいた、交通政策課は、どちらかというと交通対策課と言われていました。例えば、バスの撤退する、廃止する、をどうするのかなどの対策が多かったです。けれど、船を作ったことは、対策ではなく前向きな政策でした。将来、地域の人達がどうやったら喜んでくれるだろうか。どうやったら利便性が高まるか。ダイヤも含めてね。前向きな政策、さらには船という形で目に見える出来上がり。
 船が出来て、就航式の時は交通政策課から移動していて別の課にいたんですが、呼んでもらいました。その当時の役場の担当者は、すごく感謝してくれました。この時、仕事が目に見えて非常に充実した瞬間でした。「この仕事をやっていてよかったなぁ」と思いました。しかも、自分が惚れ込んだ奄美だったので。奄美に少しでも恩返しが出来たかなと思います。やりがいを感じた瞬間でした。


>vol.2 に続く


【お問い合わせ】 マチトビラ(鹿児島起業家留学 事務局) 住所:〒892-0815鹿児島市易居町1番2号ソーホーかごしま15号室(鹿児島市役所みなと大通り別館6階) 電話:099-216-8115 FAX:099-216-8116 Mail:info@machitobira.org http://machitobira.org

0 件のコメント:

コメントを投稿